こんにちは。
今日の復活思考法テーマは、前回に引き続き「嫌われる勇気@アドラー心理学」です。
日本におけるアドラー心理学の第一人者である岸見一郎先生の著書、「嫌われる勇気」はベストセラーになりましたから知っている人は多いと思います。
私も、この「嫌われる勇気」から、アドラーの教えを学ぶことで復活のヒントをもらいましたので紹介します。
今回、本書の「青年と哲人の対話」から抽出したキーワードは、「勇気づけのアプローチ」。
縦の関係を否定し、横の関係を提唱するのがアドラー、その理由は?
共同体感覚と所属感
哲人:前回は、対人関係の悩みを解決するための処方箋として、課題の分離についてお話しました。しかし、対人関係は課題を分離したところで終わるものではありません。むしろ、課題を分離することは、対人関係の出発点です。
青年:では伺います。対人関係の「ゴール」はどこにあるのです?
哲人:結論だけを答えろというのなら、「共同体感覚」です。
青年:・・・共同体感覚?
哲人:ええ。これは、アドラー心理学の鍵概念であり、その評価についてもっとも議論の分かれるところでもあります。
青年:おもしろそうじゃありませんか。それで、どういう概念なのです?
哲人:以前、他者のことを「敵」と見なすか、あるいは「仲間」と見なすのか、という話をしましたね?他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを、共同体感覚といいます。
中略
哲人:そして、共同体感覚とは、幸福なる対人関係のあり方を考える、もっとも重要な指標なのです。
青年:じっくり聞かせていただきましょう。
哲人:共同体感覚のことを英語では、「social interest]といいます。つまり、「社会への関心」ですね。共同体感覚を理解するには「わたしとあなた」を起点にするといいでしょう。
青年:そこを起点にどうするのです?
哲人:自己の執着を、他者への関心に切り替えていくのです。
アドラーがいう対人関係のゴールが「共同体感覚」。かなり難しい概念ですが、あなたは共同体の一員としてそこに所属しており、共同体の中に自分の居場所があると感じられること(所属感をもっていること)が人間の基本的欲求であるといいます。
しかし、あなたは共同体の一部であって、中心ではないことを認識する必要があります。アドラーがいう、「他者はあなたの期待を満たすために生きているのではない。」の発言からも、自分が世界の中心にいるという信念を持っている人は、期待が満たされなかったときに酷い侮辱を受けたと感じ憤慨することになるのです。
そして、アドラー心理学では、所属感とはただそこにいるだけで得られるものではなく、共同体に対して自らが積極的にコミットすることによって得られるものだと考えます。
それは、「人生のタスク」に立ち向かうこと。「この人はわたしに何を与えてくれるのか?」ではなく、「わたしはこの人になにを与えられるのか?」を考えることで、所属感とは自らの手で獲得していくものなのだと。
アドラー心理学は、それを知る時期によっては非常に厳しいと感じるかもしれません。ここでも、また自分の足で対人関係のタスクに踏み出さなければならないんだと言っているのだから。
対等な横の関係に基づく勇気づけのアプローチ
哲人:アドラー心理学では、子育てをはじめとする他者とのコミュニケーション全般について「ほめてはいけない」という立場をとります。
青年:ほめてはいけない?
哲人:ほめてもいけないし、叱ってもいけない。それがアドラー心理学の立場です。
青年:いったいなぜ?
中略
哲人:ほめるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれています。人が他者をほめるとき、その目的は「自分よりも能力の劣る相手を操作すること」なのです。そこには、感謝も尊敬も存在しません。
青年:操作するためにほめる?
哲人:ええ。われわれが他者をほめたり叱ったりするのは、「アメを使うか、ムチを使うか」の違いでしかなく、背後にある目的は操作です。アドラー心理学は賞罰教育を強く否定しています。
青年:いやいや、そこは違いますよ。
哲人:誰かに褒められたいと願うこと。あるいは逆に、他者を褒めてやろうとすること。これは、対人関係全般を「縦の関係」としてとらえている証拠です。あなたにしても、縦の関係に生きているからこそ、褒めてもらいたいと思っている。アドラー心理学ではあらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。
中略
青年:ほめるのでもなく、叱るのでもない?
哲人:ええ、こうした横の関係に基づく援助のことをアドラー心理学では「勇気づけ」と呼んでいます。
青年:勇気づけ?
哲人:人が課題を前に踏みとどまっているのは、その人に能力がないからではない。能力の有無ではなく、純粋に「課題に立ち向かう勇気がくじかれていること」が問題なのだ。
「縦の関係」ではなく、対等な「横の関係」・・・・。
社会にでると至るところで「縦の関係」が成立していますよね。しかし、縦の関係を容認していると良い上司のときは良いのですが、駄目な上司(変な上司)のとき最悪なことになります。上司であっても、意識の上では対等であることを前提に、主張すべきことは堂々と主張することが大切だとアドラーも言っています。
そして、部下に対してほめても叱ってもいけない。例えば、部下が与えられたミッションを達成したときもほめてはいけない。ミッションを前に立ち尽くしていても叱ってはいけないことになります。ただ、勇気がくじかれているだけだから。
では、勇気を持つにはどうすれば良いのか?
アドラーの見解はこうです!
- 人は、「感謝の言葉を聴いた」とき、自らが他者に貢献できたことを知る。
- 人は、「私は共同体にとって有益なのだ」と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる。
- 人は、「自分には価値がある」と思えたときにだけ、勇気を持てる。
だから、ほめるのではなく、勇気づける。
仕事を手伝ってくれたパートナーに「ありがとう」と感謝の言葉を伝える。あるいは、「うれしい」と素直な喜びを伝える。「助かったよ」と御礼の言葉を伝える。
これが、まさに対等な横の関係に基づく勇気づけのアプローチなのです。
まとめ(今回の気付き)
- アドラー心理学では、対人関係のゴールは「共同体感覚」である。
- 共同体に対して自らが積極的にコミットすることで所属感が得られる
- 勇気づけるというのは、相手に感謝の言葉や素直な喜びや御礼を伝えることである。
以上、アドラーの教え「勇気づけのアプローチとは?」いかがでしたか?
「嫌われる勇気」まだ読んでない人は是非とも読んでみてください!
—————————————————–—————————–
最後までお付き合い有難う御座います。
それでは、また次回。
—————————————————–—————————